1年のうちで最も心浮き立つイベントのひとつであるゴールデンウイーク。今年は何連休? 振替休日は? と、誰もがカレンダーを凝視するはず。とはいえ、この期間にはさまざまな祝日が連なるだけに、何日が何の休日なのかは、忘れがち。そこで今回は大型連休後半のトップバッターを飾る「憲法記念日」について、おさらい! 「憲法記念日」の意味や「日本国憲法の基本原則」、さらには「国民の休日」の英語表現についても解説します。

【目次】

憲法記念日は日本国憲法が施行された日です。
憲法記念日は日本国憲法が施行された日です。

【憲法記念日の「基礎知識」】

■「憲法記念日」は「何日」? 「いつ」決まったの?

日本の「憲法記念日」は5月3日です。1948(昭和33)年に「国民の祝日に関する法律」(以下「祝日法」)によって制定され、「国民の祝日」となりました。「祝日法」は1948年の公布・施行以降、改正が重ねられ、祝日の追加等が行われた結果、今日では16の「国民の祝日」が定められています。なかでも「憲法記念日」は、「祝日法」施行当初から設けられていた、9つの「国民の祝日」のうちのひとつです。

■なぜ「憲法記念日」は休日なの?

「祝日法(第3条)」により、「国民の祝日は休日とする」と定められているからです。

■国民の祝日と憲法記念日の「意味」は?

「国民の祝日」は、「美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」。そしてそのひとつである「憲法記念日」は、「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」日です。ひとつひとつに、趣旨が定められているのです。


【「憲法記念日」が5月3日なのはなぜ?】

5月3日は日本国憲法が施行された日です。ちなみに公布日は前年の11月3日でした。「憲法記念日」が、公布日の11月3日にならなかったのはどうしてなのでしょうか。

■5月3日が「憲法記念日」になった「理由」

日本国憲法は、1946(昭和21)年11月3日に公布されました。施行されたのは、その翌年となる1947年の5月3日です。当初、憲法記念日は、日本国憲法の公布日である11月3日にする予定でした。ところが、11月3日は明治天皇の誕生日でもあり、天皇と国民の関係性を薄めたかったGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の反対により、施行日である5月3日に設定されることになったといわれています。

■11月3日が「文化の日」になった理由

明治天皇の誕生日である11月3日が「文化の日」になった経緯は、なかなか複雑です。天皇陛下の誕生日を祝う「天皇誕生日」は、1947年までは「天長節(てんちょうせつ)」と呼ばれていました。「天長節」は、天皇の代替わりと共に日付が変更されるのがルールです。そのため、1912(明治45)年に明治天皇が崩御すると、「天長節」は大正天皇の誕生日である8月31日に移動しました。そのため、11月3日はいったん祝日ではなくなりましたが、明治天皇が崩御した7月30日(※)が「明治天皇祭」として祝日に制定されます。ところが、1926(大正15)年に大正天皇が崩御すると7月30日は祝日ではなくなり、国民からは「明治天皇を偲ぶ日がなくなる」といった声があがったのです。これを受けるかたちで、1927(昭和2)年から再び、11月3日が「明治節」として祝日になりました。そして1948年の「祝日法」施行により「文化の日」となり、今に至ります。「政府広報オンライン」では、「この日が、昭和21年に日本国憲法が公布された日であり、憲法において戦争放棄という重大な宣言をし、国際的にも文化的意義を持つ重要な日であることから、平和を図り、文化を進める意味で『文化の日』と名付けた」と説明しています。

※宮内庁の発表による。実際は7月29日


【日本国憲法の基本原則とは?】

この機会に、日本国憲法の基本原則についても復習しましょう!日本国憲法では、「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」の3つを基本原則として定めています。

■国民主権

「国民主権」とは、「国の政治を最終的に決める権利(主権)は国民にある」という原則を示しています。1889(明治22)年に発布された大日本帝国憲法においては、主権は「統治権」と呼ばれ、「統治権」は天皇がもつ「天皇主権」の原則でした。現在の日本国憲法では、天皇は「日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」とされています。

■平和主義

第二次世界大戦の反省から、日本国憲法に取り入れられた原則が「平和主義」です。「戦争の放棄」、「戦力の不保持」、「交戦権の否認」を定めています。

■基本的人権の尊重

「基本的人権」は、人間が生まれながらにして持っている、人間らしく生きる権利です。この基本的人権を大切にしようという原則が、「基本的人権の尊重」です。基本的人権には、自由に生きるための権利である「自由権」や、平等に生きる権利である「平等権」、そして文化的で最低限度の生活を営む権利である「社会権」などが含まれています。これらの権利は、「侵すことのできない永久の権利」として保障されています。


【5月3日のそのほかの「記念日」は?】

「憲法記念日」は国の法律によって定められた「国民の休日」ですが、このほかに「一般社団法人 日本記念日協会」が認定・登録を行う記念日もあります。いくつかご紹介しましょう。

■五三焼カステラの日  

長崎県雲仙市に本社のある和泉屋が制定。通常品よりも卵黄をぜいたくに使い、しっとりとした舌ざわりと深く濃厚な甘さの「五三焼カステラ」をより多くの人に知ってもらい、そのおいしさを味わってもらうのが目的です。日付は、「五三焼カステラ」で使用する卵黄と卵白の割合が5五対3であること、また、大切な贈り物として桐箱に収めて贈ることから桐の家紋「五三の桐」にちなんで名付けられたとの説から、選ばれました。

■スケートパトロールの日

岐阜県のスケートボードなどの愛好家グループ「RED SKATE」(レッドスケート)が、スケートボーダーのマナーの向上、ルールの尊重、地域貢献などを目的とした活動「スケートパトロール」を行っていることから制定。日付の由来はふたつ。ひとつめは、ルールの尊重を願って、憲法記念日と同じ日に。また、清掃活動などを行うことから、語呂合わせで「ゴミ」と読める5月3日になりました。

■みたらしだんごの日  

「みたらしだんご」を製造する山崎製パン株式会社が制定。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで幅広く販売されている「みたらしだんご」を、手軽なおやつとしてもっと食べてもらうことを目的としています。日付は「み」(3日)たら「し」(4日)だん「ご」(5日)の語呂合わせから、毎月の3日、4日、5日が「みたらしだんごの日」となっています。


【「憲法記念日」を英語で言うと?】

「憲法記念日」の英語表記は、[Constitution Memorial Day]です。[constitution]は日本語で「憲法」、[memorial]は「記念」を意味します。
現在、日本の祝日は16日。以下にすべての英語表記をご紹介しましょう。

元日       1月1日… New Year’s Day
成人の日     1月の第2月曜日… Coming of Age Day
建国記念の日    2月11日… National Foundation Day
天皇誕生日    2月23日… Emperor’s Birthday
春分の日     春分日… Spring/Vernal Equinox Day
昭和の日     4月29日…Showa Day
憲法記念日    5月3日… Constitution Memorial Day
みどりの日    5月4日… Greenery Day
こどもの日    5月5日 … Children’s Day
海の日          7月の第3月曜日… Marine Day
山の日          8月11日… Mountain Day
敬老の日       9月の第3月曜日… Respect for the Aged Day
秋分の日       秋分日 … Autumnal Equinox Day
スポーツの日    10月の第2月曜日… Sports Day
文化の日    11月3日… Culture Day
勤労感謝の日    11月23日… Labor Thanksgiving Day

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5月は「憲法記念日」「みどりの日」「こどもの日」と休日が続き、ゴールデンウイークも後半戦です。日頃の疲れやストレスをリフレッシュする術を、複数もっておくのも大人のたしなみ。外出ばかりがリフレッシュとはいえず、部屋に積まれた本を読んだり、知識を求めてネットの海に漕ぎ出すのもよき。休日を満喫してくださいね!

この記事の執筆者
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参考資料:内閣府「国民の祝日」について(https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html)、 政府広報オンライン「知ってそうで知らない「国民の祝日」とその趣旨や経緯」(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202112/3.html) :